編著:45会幹事会
序 文 |
このたび,病棟勤務の研修医を含む若手医師を対象とした『ビジュアル消化器外科マニュアル』を,四五会幹事会が中心となって出版する運びとなった. 本書を発行するに至った経緯は,昭和45年卒業で消化器外科を志す全国の医師が集まり,「四五会」なるものを結成し,年2回の日本消化器外科学会の期間中,親睦会を開いてきたが,その会員の中から「臨床教育の場において既存の『消化器外科』の本にない,もっと現場で活用できるようなビジュアルな本があれば良いと思うが」という意見がだされ,幹事会で計った結果「四五会」でそのような本を造ろうということになった. 「四五会幹事会」が中心となり編集委員会を結成し,読者対象を病棟勤務の若手医師として,卒前教育にも使用でき得るものとした. 内容に関してはできるだけ平易で,かつ見やすく,しかもより臨床の場で使いやすくするためフローチャートなどを多用した「ビジュアル」なマニュアルとした. 幸いにも「四五会」の構成メンバーは全国の大学を中心に60余名の優秀なる人材を配しており,それぞれの専門分野もバラエティーに富んでいるので,できるだけ多くの先生にご執筆をお願いした. それぞれの執筆者は医療の現場において,第一線の臨床医として各施設における中心的人物であり,卒前・卒後教育の面からも責任ある立場の方ばかりである.それゆえ,日頃からどのような臨床教育が大切か,またその臨床教育に必要な教材がどうあるべきかを最も理解している方ばかりである. 医療は日進月歩,新テクノロジーの導入,診断技術の向上など目をみはるものがあるが,それらの新しい知識や技術を普段の臨床の場において駆使されておられる執筆者の玉稿はリアリティーに富んだものとなっている.また教育の実務担当者も多数おられ,教育の面からも若手研修医あるいは学生向けの内容となっている.当初のコンセプト通り,あくまでも忙しい病棟勤務医が気軽に臨床の場で参考にできるマニュアルとするために,見開きが簡単で,ビジュアルで平易な文章と,診断から治療に至るまでのフローチャートが多用されるよう編集した. この『ビジュアル消化器外科マニュアル』が病棟勤務の医師ならびに臨床実習中の学生諸氏に広く利用されることを企画編集をした者の一人として期待する. 本書の執筆にあたられた多くの会員の先生方,ならびに企画段階からご協力をいただいた株式会社日本臨牀社 社長・西村昭緒氏および企画編集部・浜本真次氏に深謝する. 平成6年7月 東邦大学医学部外科学第三講座 教授 炭山嘉伸 |
目 次
|
標題 |
トップオーサー |
頁数 |
I | 症候群 | ||
1 | 腹痛(急性復症) | 炭山嘉伸 | 2 |
2 | 消化管出血 | 木内立男 | 10 |
3 | 消化吸収障害(下痢と便秘) | 角田明良 | 18 |
4 | 黄疸 | 大内清昭 | 24 |
5 | 腹部腫瘤 | 門田守人 | 30 |
6 | 意識障害 | 高見 博 | 36 |
II | 総 論 | ||
1 | インフォームドコンセント | 平野正満 | 44 |
2 | 術前管理 | 鳥居治文 | 52 |
3 | 術後管理 | 渋谷哲男 | 60 |
4 | 輸液栄養管理、輸血 | 菊地 秀 | 68 |
5 | 基本的手術手技 | 本田毅彦 | 80 |
6 | 周術期感染症 | 炭山嘉伸 | 88 |
7 | 多臓器障害 | 池井 聰 | 94 |
8 | ショック | 谷 尚志 | 102 |
9 | 腫瘍マーカー | 島野高志 | 110 |
10 | 消化器癌に対する化学療法 | 奥山和明 | 118 |
11 | 腹腔鏡下手術 | 桜町俊二 | 126 |
12 | 臓器移植 | 門田守人 | 132 |
13 | 腹部外傷 | 渡辺義二 | 140 |
14 | パリアティブケア | 高見 博 | 148 |
III | 各論−食道・胃− | ||
1 | 食道静脈瘤・門脈圧亢進症 | 幕内博康 | 156 |
2 | 食道炎 | 塩崎 均 | 164 |
3 | 食道その他(アカラシア、裂孔ヘルニア、穿孔) | 村上卓夫 | 170 |
4 | 食道癌 | 鶴丸昌彦 | 180 |
5 | 胃・十二指腸潰瘍 | 小島 治 | 186 |
6 | 胃癌 | 大内明夫 | 196 |
7 | 胃非上皮性腫瘍 | 笹島耕二 | 204 |
IV | 各論−腸− | ||
1 | 急性虫垂炎 | 辻 寧重 | 210 |
2 | クローン病、潰瘍性大腸炎 | 亀山仁一 | 218 |
3 | 消化管ポリポーシス | 岩間毅夫 | 226 |
4 | 結腸癌 | 秋本 伸 | 236 |
5 | 直腸・肛門癌 | 吉田博之 | 244 |
6 | 腸間膜血管閉塞症 | 佐藤光史 | 250 |
7 | イレウス(腸閉塞) | 徳永 昭 | 254 |
V | 各論−肝− | ||
1 | 肝嚢胞性疾患 | 草野満夫 | 264 |
2 | 肝良性腫瘍 | 笹田明徳 | 268 |
3 | 肝悪性腫瘍 | 山本正之 | 276 |
4 | 転移性肝癌 | 長島郁雄 | 284 |
VI | 各論−胆− | ||
1 | 胆石症 | 琴浦義尚 | 292 |
2 | 胆嚢炎 | 林 雅造 | 300 |
3 | 胆嚢腫瘍 | 中村 達 | 306 |
4 | 胆管炎 | 別府倫兄 | 314 |
5 | 先天性胆道拡張症、膵・胆管合流異常 | 吉川 澄 | 318 |
6 | 胆管癌 | 轟 健 | 324 |
VII | 各論−膵− | ||
1 | 急性膵炎 | 竹川 茂 | 344 |
2 | 慢性膵炎 | 森本剛史 | 350 |
3 | 膵嚢胞 | 木村健一 | 356 |
4 | 膵内分泌腫瘍 | 黒田嘉和 | 362 |
5 | 膵癌 | 今泉俊秀 | 368 |
6 | 粘液産生膵腫瘍 | 田中紘輝 | 378 |
VIII | その他 | ||
1 | 後腹膜腫瘍 | 済陽高穂 | 384 |
2 | 肛門病変 | 稲次直樹 | 390 |
3 | 鼠径ヘルニア | 橋本 俊 | 398 |
4 | その他のヘルニア | 高見 博 | 404 |